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フリーミアムって?―無料からお金を生み出す戦略について―

フリーミアムって?―無料からお金を生み出す戦略について―

“たとえば、職場で無料のコーヒーを好きなだけ飲めることで、よりおいしいコーヒーの需要を呼び覚まし、喜んでそれに高い料金を払う。”

“私たちは、自分たちがまだ十分に持っていないものに高い価値を付ける。”

「FREE」 クリス・アンダーソン(2009)

 

「FREE」という本をご存知でしょうか。2009年、米国の総合誌「WIRED」の編集長であるクリス・アンダーソンによって書かれたその本は、当時非常に大きな話題になりました。

「FREE」の邦題は「フリー:無料からお金を生み出す新戦略」。近年では多くの商品・サービスが無料で提供されています。例えば有名なオンラインストレージサービスであるDropboxは、容量に制限こそあれ、そのサービスを無料で利用することが出来ます。通勤電車で多くの人が熱中しているスマートフォンのソーシャルゲームも、そのほとんどが基本的には無料でプレイできます。

とはいえ、Dropboxもソーシャルゲームも、収益を上げるためのビジネスの1つです。無料で提供するサービスを、ビジネスに昇華させる手法こそ、「無料からお金を生み出す」戦略と呼ばれるものです。

「フリーミアム」という戦略

ビジネスにおいて、無料サービスから収益を上げる方法は幾つかあります。最も有名な手法として挙げられるべきは、広告による収入モデルでしょう。テレビやラジオのようなマス媒体が昔から採用してきた手法であり、Webの世界でいえば大手検索サービスのGoogleは最も巨大な広告収入モデルを持っています。
しかし先ほど挙げたDropboxのサイトを見てみると、それらしい広告は一切見当たりません。それは彼らが採用している手法が、広告による収入モデルではなく、フリーミアムと呼ばれる収入モデルにあるためです。
フリーミアムとは、無料を表すFreeと、付加価値的な高級さを表すPremiumを掛け合わせて作られた造語です。簡単に説明すると、基本的なサービスを無料で提供し、一部のサービスに対してのみ課金することで、そのサービスを利用したユーザーから収入を得る仕組みがフリーミアムと呼ばれています。

フリーミアム、3つの展開例

それでは実際に、フリーミアムという手法がどのように取り入れられているかについて、幾つかの分類と合わせて見ていきましょう。フリーミアムを分類する際に着目すべきは、「何に課金されているか」という点です。つまり、無料と有料のボーダーラインにこそ、フリーミアムの妙が存在します。

1.サービスの「量」に課金する

先ほど挙げたDropboxの場合、その収益の多くは、Dropbox Proと呼ばれる有料プランに依存しています。Dropboxにはデータ容量の制限があり、無料プランのユーザーは原則その制限を超えて利用することが出来ません(ユーザー紹介制度など、無料プランでも容量を増やす方法が無いわけではありません)。しかし、基本プランの2GB(2015年1月現在)と比べ、有料プランのDropbox Proに切り替えることにより、100GB、200GBと制限データ容量を拡張していくことが可能になります。
Dropboxのモデルでは、サービスの量に対して課金しています。無料で使い始めたユーザーに、制限を気にせずサービスを使いたいと思わせるところに、収益の仕組みを作っているのです。
スマートフォンのソーシャルゲームにも同様の手法が使われているケースがあります。俗にスタミナ課金と呼ばれているものがその1つですが、1日のプレイ回数に制限を設け、それよりも多くプレイするには、有料のアイテムを購入する(=スタミナを回復する)必要があります。このモデルもプレイ回数というサービスの量に課金されている例の一つです。

2.サービスの「質」に課金する

日本国内でYoutubeと並ぶ人気を誇る動画配信サービス「ニコニコ動画」では、月額制のプレミアム会員制度を設けています。勿論、プレミアム会員でなくても動画の閲覧は出来るのですが、プレミアム会員に登録することで画質・読み込み速度が早くなったり、ライブ動画配信サービスにおけるNGワードブロック機能など、追加機能を使用することが出来るようになります。つまり有料プランに切り替えることで、無料プランには無いサービスを利用することが出来る仕組みです。

3.サービスの「対象」に課金する

例えば「個人使用無料・法人使用のみ有料」というルールを制定しているものが、このパターンに分類されるものです。クラウド会計ソフトのFreeeでは、無料プランに加え、月額課金制の個人事業主プラン、法人プランを用意しています。対象ユーザーの性質により無料/有料を切り替え、大規模なビジネスユースを想定しているユーザーからのみ収益をあげる仕組みです。

フリーミアムは諸刃の剣?メリットとデメリット

ここまでフリーミアムを大きく3つに分類してきましたが、フリーミアムモデルの共通のメリットとして、「利用のハードルを下げる」点が挙げられます。
フリーミアムはWebサービスに限定した収益モデルの話ではありません。現在ではどのようなビジネスを展開するにしても、ほとんどの場合多くの競合相手と戦っていくことになります。既にトップランナーが存在する市場などにおいては、商品やサービスを「試しに」利用してもらうことすら難しい状況なのです。
フリーミアムは、そのような弊害を「無料」というメリットで乗り越えようとする戦略です。人は損を避ける生き物ですから、価値の不確かな新しい商品・サービスに対しお金を使うことに慎重です。しかし無料なら話は別。ダメで元々、利用してもらえる可能性は遥かに高くなります。

しかし一方で、無料で商品やサービスを提供することは、大きなリスクとなり得ます。その行為単体で見れば大損に他ならないからです。フリーミアムモデルは、ただ無料ユーザーを獲得することのみでは、収益モデルとして成立しません。彼らに対し、より価値の感じる提案を行い、有料のプレミアムサービスまで導くことができるかどうかが、フリーミアムモデルの最も重要な鍵となります。それが出来ずに終わってしまえば、商品やサービスの価値は下がり、コストが回収できない悲惨な未来が待っています。そういった意味では、フリーミアムモデルはまさに諸刃の剣と考えるべきかも知れません。

よく検討して導入しよう

フリーミアムは万能薬ではなく、ひとたび使い方を間違えると毒薬にもなりうる戦略です。したがって実際のビジネスに援用する場合、極めて慎重に検討する必要があります。
検討すべきポイントは幾つもありますが、今回取り上げたような「無料と有料のボーダーライン」もその1つです。商品やサービスによっては、そもそも無料で提供すべきではないものもあるかも知れません。
「FREE」の発売から6年、幸いにして今では多くの事例が報告されています。それらを参考にしながら、ビジネスにおいて採用する戦略の1つとして、フリーミアムモデルを検討してはいかがでしょうか。

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