「ステマ」が景品表示法違反の対象に指定。ステルスマーケティングとは?
- 投稿日:2023年05月09日
- 作成者:ito.y
- カテゴリ:マーケティング
ステルスマーケティングが3月28日景品表示法の禁止行為に指定され、10月から法規制されます。実際に、10月1日より広告表示なくステルスマーケティングに該当する行為を行った場合、行政処分(措置命令)を受けてしまいます。
今後はステルスマーケティングについて知らなかったでは済まされない事態になりかねないため、自社でも気づかずやっていないか確認しましょう。今回は、ステルスマーケティングとはいったいどのような行為なのか、問題となる理由や何が違法行為に該当するのかについて解説致します。
目次
ステルスマーケティング(ステマ)とは
ステルスマーケティング(ステマ)とは、消費者に広告と認識されずに商品やサービスを宣伝する手法のことです。ステルスマーケティングでは、広告であることがわからないように、口コミやレビューなどの形で宣伝を行うことが多くあります。
しかし、ステマは一般的には違法な手法とされており、消費者を欺いているという批判もあります。ステマの手法には、“サクラ“や“やらせ”などがあり、商品やサービスの評判を操作したり、他社の評価を下げたりする書き込みが行われています。
特に、Web上での口コミやレビューは、消費者にとって信頼できる情報源とされており、ステマが行われると、消費者の信頼を失うことになるため、企業としても避けるべき手法とされています。
ステルスマーケティングが問題となる理由
ステルスマーケティングが問題となる理由には、次のようなものがあります。
SNS上で影響力のある人に依頼したことで事件が発生する
まず、SNS上で影響力のある人に依頼してステルスマーケティングを行った場合、社会的な話題になるような事件が発生する可能性があるということです。過去には、有名インフルエンサーに対して、企業から金銭を提供し、宣伝を依頼したことで、宣伝目的であることが明かされていなかったことが問題視され、大きな批判を浴びることになりました。
実際に20人に金銭が支払われ、人によっては1000万円を超える金額を受け取る人もいたと報告されています。
口コミによる詐欺事件も発生
近年、口コミによる詐欺事件が問題視されています。ステマを行う業者が、自社の商品やサービスについて、口コミを仕込むことで、信頼性の高い情報と偽り、消費者を騙すことがあります。これらの手法は、消費者に対する不正行為として批判され、法的に問題視され、大きく信用を失うことに繋がります。
第三者による情報の信頼性が低下する
第三者による情報は信頼性が高いという期待があるため、ステルスマーケティングが行われることで、消費者の信頼を失うことにもなります。ステマが行われたことが明らかになると、消費者はその企業に対して不信感を抱き、製品やサービスに対する評判も悪化することがあります。
企業としても、信頼を失うことでブランドイメージが悪化し、長期的な影響が出ることが考えられます。
ステルスマーケティングを違法としている国の取り組み
現在、海外では、ステルスマーケティングを法律で禁止しています。
米国では、消費者を誤認させる表示を禁止しており、企業が依頼して宣伝をする場合は、明確な開示が必要とされています。また英国においては、検索結果の上位に表示するため、金銭を支払う、または有料広告であることを開示せずにサービス提供した場合は、法律違反となります。
その他にも、カナダやオーストラリアにおいても、ステルスマーケティングに該当する行為を法律で禁止しており、違反者に対しては罰則が科せられることがあります。
どこまでが禁止行為に触れるのか
日本において、ステルスマーケティングが禁止される法律は存在します。具体的には、以下のような内容が規制の対象となります。
【規制の対象となる内容】
- 偽の口コミやレビューを投稿する場合
- 広告であることが明確でないまま商品やサービスを推奨する場合
- 有名人やインフルエンサーを利用しているにもかかわらず、広告であることが明確にされていない場合
- 宣伝であることを明確にせずに、動画やブログなどで商品やサービスを紹介する場合
一方で、以下のような場合には規制の対象とならないことがあります。
【規制の対象とならない内容】
- 自分が使った商品やサービスの感想を発信する場合
- 友人が自主的に商品やサービスを紹介する場合
- インフルエンサーが広告と明確にしている場合
ただし、日本のステルスマーケティングに関する法律は比較的新しいため、自主規制であるケースが多く、拘束力がないという問題があります。しかし、今後は、有識者会議にて規制強化を図るよう提言が行われたため、一気に規制強化の措置が進んでいくでしょう。
まとめ
今後は、ステルスマーケティングと判断されないようにするためには、すべての媒体に「広告」「宣伝」といった表示を行う必要があります。仮に表示を行っていても、非常に小さい文字で存在がわからない程度のものであれば、法規制により行政処分を受ける可能性が高いため、注意していきましょう。