期限切れのドメインの不正使用とは?中古ドメインのSEOへの影響をご紹介
- 投稿日:2024年12月17日
- 作成者:mishima.s
- カテゴリ:SEO, その他
ドメインの取得や運用を考える際に、期限切れドメインや中古ドメインに関する話題を耳にすることがあります。一見便利そうなこれらのドメインですが、不正使用やSEOへの影響についてしっかり理解しておかないと、思わぬトラブルに繋がる可能性があります。
今回は、期限切れのドメインの不正使用とはいったいどのようなものなのか、中古ドメインの基礎知識やドメインの選び方、管理方法についてわかりやすく解説していきます。
中古ドメインとは?
中古ドメイン(オールドドメイン)とは、以前に他の所有者によって利用されていたが、有効期限が切れたり所有権が放棄されたりした後に再び取得可能となり、再販売されているドメインのことです。
中古ドメインには、過去に運用されていたWebサイトの情報やGoogleの評価が残っていることが多く、これらがSEOに影響を与える可能性があります。そのため、新規ドメインと比較して、中古ドメインを利用することで特定のSEO効果を期待できる場合もありますが、同時にリスクも伴います。
一般的に言われていた中古ドメインのメリット
中古ドメインには、新規ドメインにはない独自のメリットがあるとされてきました。
具体的には、次のような内容です。
インデックス速度が早い
中古ドメインは過去にWebサイトが運営されていたことが多く、検索エンジンのクローラーに既に認識されています。そのため、新規ドメインに比べて、検索エンジンによるインデックスが迅速に行われる傾向があります。
新規ドメインの場合、クローラーが訪問しインデックスするまでに多くの時間を要することがありますが、中古ドメインを利用すればWebサイトを立ち上げてすぐに検索結果に反映され、キーワードによっては上位表示される可能性があります。
ドメインエイジの効果が期待できる
検索エンジンのアルゴリズムは、長期間使用されているドメインを信頼性の高いものと見なす傾向があります。中古ドメインは、新規ドメインと異なりドメインエイジが存在しており、これが検索エンジンからの信頼性向上につながる可能性があります。
たとえば、新規ドメインでは信頼性を高めるために時間を要することが多いですが、ドメインエイジが長い中古ドメインを利用すれば、信頼性が既に一定水準以上ある状態で運用を始められるため、比較的SEO効果を得やすいとされています。
被リンクの効果が期待できる
中古ドメインの最大の特徴の一つは、過去に運用されていたWebサイトの被リンクが残っている場合がある点です。これらのリンクは、検索エンジンにおいてドメインの評価を高める要因となります。
ただし、リンクの質が重要であり、低品質なリンクやペナルティに繋がりやすいリンクが多い場合は逆効果となるリスクもあります。そのため、中古ドメインを取得する際には、リンクの状態について詳細に調査し、価値のあるリンクが残っているかを確認することが必要です。
ページランクの効果が期待できる
ページランクは、Googleの評価指標の一つで、Webサイトの重要度を示すものです。中古ドメインの中には、過去の運用で高いページランクを取得しているものがあります。これにより、新たに運用を開始しても、ページランクが引き継がれる可能性があり、SEOの初期段階で有利な結果につながることがあります。
ただし、現在ではページランクは直接公開されていないため、ツールを利用して信頼性を確認する必要があります。
中古ドメインのデメリット
中古ドメインはSEOにおいて多くのメリットがある一方で、リスクやデメリットも存在します。次に、中古ドメインのデメリットをご説明します。
Googleペナルティを受けている可能性がある
中古ドメインは、過去の運用歴があるため、その間にGoogleからペナルティを受けている可能性があります。ペナルティを受けている場合、SEO対策が全く効果を発揮しないばかりか、ドメイン自体の評価が著しく低下しているため、新たにWebサイトを立ち上げても期待した結果を得ることが難しくなります。
Googleペナルティの対象となる事例
- 他のWebサイトからコピーしたコンテンツが大量に含まれている
- ユーザーの検索体験が損なわれるような広告表示が行われている
- 特定のキーワードを大量に使用し、不自然な方法で検索対策を行っている
実際に、Googleのペナルティがあるかどうかを確認するなら、Googleサーチコンソールを利用し、過去の警告履歴を調査することをおすすめします。
Webサイト公開のタイミングで手動でペナルティを受ける可能性がある
中古ドメインを新たに公開した際に、過去のネガティブな運用歴が再評価され、手動ペナルティを受ける場合があります。この場合、検索結果から完全に排除されることもあるため、運用開始後すぐにSEO効果が得られないリスクがあります。
手動ペナルティを回避し、これらのデメリットを解消するためには、ドメインの運用履歴をしっかりと確認することが大事です。
価格が高い
人気のある中古ドメインは需要が高いため、取得に高額な費用が発生する可能性があります。特に、知名度のあるWebサイトや利益につながりやすい検索キーワードに関連するドメインは数十万円から数百万円になることもあります。
新規ドメインと比較して初期投資が大きくなるため、コストが気になる方にとってデメリットとなるでしょう。
ドメイン名の自由度が低い
中古ドメインは既存のものを利用するため、自分が希望する名前やキーワードを含むドメインが選定対象にないことがあります。自社の商品やサービスのイメージに合致しないドメインを使用すると、マーケティングや認知拡大において大きなデメリットになることがあります。
前所有者との間で問題が起こる可能性がある
中古ドメインを使用する際、前所有者の経歴や評判が新たな運用に影響を与える可能性があります。たとえば、過去の所有者が法的トラブルや詐欺行為を行っていた場合、その評判がドメインに紐づいていることがあります。
他にも、商標登録されている名前が含まれているドメインを使用すると、商標権侵害で訴えられるリスクもあるため、事前の調査が欠かせません。
期限切れドメインの不正使用とは
期限切れドメイン(いわゆる中古ドメイン)は、新たに取得可能な状態になったドメインのことですが、この期限切れドメインが悪意ある目的で不正使用されるケースが増えており、近年問題視されています。次に、期限切れドメインの不正使用の実例をいくつか紹介します。
詐欺サイトへの転用
期限切れドメインを取得し、過去に運用されていたWebサイトのデザインや内容を模倣して再構築し、個人情報を不正取得する詐欺サイトとして利用されるケースがあります。たとえば、過去に金融機関が利用していたドメインを悪用し、利用者に偽の管理者ページを提供してパスワードや個人情報を盗みます。
このように、有名なドメインだからといって、安心というわけではありません。期限切れドメインが安心を装っている可能性があるということです。
迷惑メールの発信元としての利用
期限切れドメインが迷惑メールの発信元として悪用されることがあります。ドメインが以前から運用されていると信頼性が高く見えるため、迷惑メールの到達率が向上することを期待した手法です。
迷惑メールの発信者は、信頼性のある企業名や教育機関のドメインを利用して、詐欺メールや広告メールを大量に送信することで、情報や金銭の不正取得を行います。
悪質なプログラムの拡散
期限切れドメインを取得後に悪意のあるプログラムを埋め込み、訪問者のデバイスに不正アクセスする行為が報告されています。このような行為では、過去に信頼されていたドメインを利用するため、セキュリティツールを回避しやすいという特徴があります。
不正なSEOの実行
期限切れドメインに残っている被リンクを利用し、不正なSEO対策に利用する行為が問題視されています。悪質な運用者がこれらのドメインを利用して検索エンジンの評価を操作し、特定のサイトを不正に上位表示させる手段として使用します。
評判操作
期限切れドメインが以前に会社の公式サイトとして利用されていた場合、悪意のある第三者がそのドメインを取得し、不正な情報を発信することで会社のイメージを毀損するケースがあります。
期限切れドメインの不正使用はペナルティの対象に
Googleは「新しいスパムポリシー」を発表し、期限切れドメインを悪用する行為がスパム行為として厳しく取り締まられるようになりました。この新しいポリシーにより、期限切れドメインの不正使用はペナルティの対象となり、検索エンジン上での評価が大きく下がるリスクがあります。次に、具体的なルールとSEOへの影響についてご説明します。
どのような場合にスパム判定されるのか
Googleの新しいスパムポリシーでは、以下のようなケースがスパム判定の対象となります。
元のサイトと無関係な内容での運用
期限切れドメインを取得し、過去の運用内容やテーマと全く関係のない内容でWebサイトを構築した場合、Googleのスパム判定の対象となります。たとえば、教育関連のドメインを取得し、広告目的のアフィリエイトサイトとして運用するケースは、Webサイトの不正使用といえるでしょう。
不自然な被リンクの利用
期限切れドメインに残る被リンクを利用して、特定のWebサイトに不正な被リンクを送り込む行為は、ドメインの不正使用となり、スパム判定の対象となります。
大量生成コンテンツの利用
大量生成コンテンツを不正に使用することは、検索エンジンポリシーに反し、ペナルティの対象となる可能性があります。特に、Googleなどの検索エンジンは、ユーザーにとって有益で質の高いコンテンツを評価することを目的としており、大量生成コンテンツに厳しい対応を行っています。
SEOに与える影響
期限切れドメインの不正使用がGoogleによって検出された場合、SEOには大きな影響が及びます。具体的には、次のような問題が起きる可能性があります。
検索順位が下がる
期限切れドメインが不正に使用されていると判定された場合、Googleのアルゴリズムにより該当のWebサイトの検索順位が大幅に低下する可能性があります。たとえば、被リンクの不正操作や関係のないコンテンツを配信している場合、ドメイン全体の評価が下がります。
検索順位の低下は、Webサイトへの訪問者数の減少につながり、会社の売上に悪影響を及ぼします。
検索圏外に飛ばされる
Googleによって悪質な行為とみなされた場合、「検索圏外」ペナルティを受ける可能性があります。これにより、該当のWebサイトはGoogle検索結果から完全に排除され、アクセスがゼロになることもあります。
検索圏外の状態から復帰するには、問題の改善や再審査リクエストの送信、そして評価回復までの長期間の待機が必要です。この改善のアプローチには多くの手間や費用が必要であり、会社にとって非常に大きな問題になりやすいです。
被リンク効果の無効化
期限切れドメインには多くの場合、以前の運用によって取得された被リンクがありますが、不正使用が検出されるとこれらのリンクのSEO効果が無効化される可能性があります。そして、悪質なリンク操作と見なされると、リンクを送ったWebサイトにも影響を与える場合があります(リンク元のWebサイトの評価低下)。
ユーザーエクスペリエンスの低下
期限切れドメインが不正に使用されている場合、多くの場合でユーザーの期待と大きく異なる内容が掲載されます。これにより、訪問者がすぐに離脱し、直帰率が高まります。直帰率の上昇はGoogleに「質の低いサイト」と見なされる要因となり、検索順位を下げることになります。
会社のイメージの低下
Googleのペナルティを受けると、その情報が業界内や顧客に知れ渡ることがあります。「ペナルティを受けたWebサイト」としての評判は、会社の信頼性に大きな影響を与え、回復には長い時間を必要とすることになります。
今後のドメインの対策方法:AIによる自動判定の可能性
現在、期限切れドメインの不正使用に対するペナルティは、主にGoogleの手動審査チームによって実施されています。しかし、AI(人工知能)の発展により、今後は自動化が進むことが推測されます。次に、AIがどのように利用され、どのような影響があるのかをご説明します。
AI判定の採用が進む理由
AIには、膨大なデータの処理能力があり、これまで手動では対策できなかった大量のデータを短時間で分析できます。たとえば、不正なリンクやコンテンツの類似性、不自然なアクセスなどをリアルタイムで検出可能です。
また、ペナルティの対象となる悪意のある行為は年々高度化しており、従来のアルゴリズムでは検出が難しい場合があります。しかし、AIは常に新しい手法に適応し、柔軟に対応できます。
AIがSEOに与える影響
現在は、不正行為が検出されるまでに多くの時間を必要とする場合がありますが、AIが採用されることで、不正行為がほぼリアルタイムで検出される可能性があります。これにより、悪質なWebサイトはすぐに排除され、正当な運用をしているWebサイトとの公平性が保たれるでしょう。
AIの精度が向上する一方で、採用初期には誤判定が増えるリスクもあります。たとえば、正規の運用をしているWebサイトが誤ってペナルティを受ける可能性が考えられます。この場合、運営者はGoogleに再審査を申請し、誤判定を消してもらう必要があります。
今後、AIによる判定が厳格化することで、期限切れドメインを利用するリスクが増加します。これにより、ドメイン選定の際には過去の運用履歴や被リンクの質を徹底的に精査する必要が出てきます。
ドメインの選び方や管理方法
ドメインを正しく選び、管理することは、Webサイトの運営やSEOにおいて非常に重要です。特に、ペナルティのリスクを回避するためには、取得時や運用時に細心の注意を払う必要があります。次に、ドメインの選び方や管理方法についてご説明します。
ドメイン取得時の注意点
ドメインを取得する際は、過去の使用履歴に注意する必要があります。たとえ、自分で考えたドメインでも、過去に他者によって使用されている場合があります。特に、不正なSEOに利用された履歴があるドメインを取得すると、新しい運用を開始してもペナルティの影響を受けることがあります。
まずは、Wayback Machineを利用して、過去のコンテンツを確認してください。正しい方法での運用が確認できない場合は、ドメインの取得をやめておきましょう。
Wayback Machine
https://web.archive.org/
次に、WHOIS検索で以前の所有者を調査します。
WHOIS検索
https://tech-unlimited.com/whois.html
次に、被リンクの状況をSEOツールでチェックしていきます。AhrefsなどのITツールを利用すれば、簡単に調べられます。
そして、Googleのインデックス状況を確認しておきましょう。取得前にGoogle検索で「site:ドメイン名」と検索し、インデックス状況を確認します。不自然なページやコンテンツが表示される場合、そのドメインには問題がある可能性があります。
使用済みドメインを手放すリスク
既に使用しているドメインを手放す際には、特に注意が必要です。一時的な利用であっても、不正使用されるリスクがあるため、慎重に検討しましょう。使用していたドメインを手放すと、第三者がそのドメインを取得し、不正行為に利用する可能性があります。
また、管理状況によっては意図せずドメインが失効してしまい、第三者の手に渡ることがあります。失効や不正使用を防ぐためには、ドメインの管理状況を定期的に確認し、正しく運用することが重要です。
自社管理の場合
- 自動更新設定を有効にする
- ドメインの更新期限を定期的にチェックする
- 管理者連絡先情報が正確であることを確認する
他社へ管理を委託している場合
- 委託先の管理状況を定期的に確認する
- 契約内容を確認する
まとめ
中古ドメインや期限切れドメインの利用を含め、SEOの裏技的な手法は年々厳しく規制されています。Googleをはじめとする検索エンジンは、ユーザーにとって有益で信頼できるコンテンツを評価する方向に進化しており、短期的な効果を期待した不正なSEOはペナルティの対象となるリスクが高まっています。
最終的に、SEO対策で最も重要なのは、ユーザーにとって質の高い、価値あるコンテンツを制作することです。ユーザーの要望を深く理解し、役立つ情報を提供することが、持続的なSEO成功への近道といえるでしょう。