メールサーバーの引越しで失敗しないために
- 投稿日:2015年10月01日
- 作成者:weblab
- カテゴリ:デザイン
今年も早いもので、残すところ3ヶ月あまりとなりました。4月から新生活を始めた方の中には、そこから半年が過ぎたことに驚かれた方もいるのではないでしょうか。
さて、10月は、実は4月に次いで新生活を始める人が多いタイミングと言われています。
秋の人事異動を受けたビジネスマンや、大学や専門学校の編入生は、今まさに引越しシーズンを迎えているようです。
引越しにはとても多くの手続きが必要です。「郵便物の転送手続き」もその一つ。旧住所から新住所への入れ替わりのタイミングでも郵便物を受け取れるように、「古い住所への自分宛の荷物は、しばらく新しい住所に届けてくださいね」と郵便局にお願いする手続きです。この手続きを行うことにより、郵便物の受取漏れを防ぐことができます。
家の引越しではなく、メールサーバーの引越しでも同様の対策が必要です。古いサーバーに届いたメールをうっかり見落としてしまった、となってしまっては大変ですよね。しかしメールサーバーの引越しの場合は構造上、ちょっとだけ手続きが複雑です。どういうことでしょうか?それでは、早速見てみましょう。
メールサーバーの引っ越し手順
メールサーバーの引っ越しは、まずは新しいサーバーの管理画面にログインすることから始まります。基本的に借りたばかりのサーバーにはメールアドレスが登録されていない状況なので、使っているメールアドレスについて再度登録設定する必要があります。登録方法はサーバーによって様々ですので、ヘルプやサービスセンターを使いながら作業を行いましょう。
サーバーにメールアドレスを登録したら、DNS(ドメインネームサーバー)の切り替えが必要です。これにより、***.comといったドメインに新しいサーバーを参照するよう設定できます。
あれ?こちらも簡単に手続きが済んでしまいました。これにて完了!といいたいところですが、実はこの方法には大きな穴があります。結論からいうと、「この時点でDNSを切り替えてはいけません」。
DNSのプロパゲーション期間
もしもDNSの切り替えが「瞬時に」行われるのなら、上記の設定でOKなのです。しかし、DNSの切り替えには時間がかかります。設定からしばらくは、新しいサーバーを参照するか、それとも古いサーバーを参照するか分かりません。ユーザーの環境によってどちらを参照するか変わってしまう、極めて不安定な時期が続きます。つまり、メールも同様に、新しいサーバーに届くのか古いサーバーに届くのか分からなくなってしまうのです。
このような不安的な時期をDNSのプロパゲーション(浸透)期間と呼びます。サーバーの引越しの際にはどうしても避けられない期間です。
では、プロパゲーション期間に届いたメールを、漏れなく受け取るにはどうしたら良いでしょうか?実は古いサーバーに届いても、新しいサーバーに届いても受け取れるような設定があるのです。
メールソフトへの二重登録
***.comといったドメインでは、DNSのプロパゲーション期間中どちらのサーバーを参照するかわからないことは確認したとおりです。そのため、ここでは***.comといったドメインは使いません。その代わり、「IPアドレス」と呼ばれる番号を使います。
IPアドレスは各サーバーに割り振られた固有の番号です。この番号はたとえプロパゲーション期間でも変わりません。この番号を使うことで、***.comといったドメインを用いることなくサーバーと接続することができます。
手順は簡単です。まずは新旧サーバーのIPアドレスを調査しましょう。111.222.333.44といった番号が明らかになるはずです。
そしてメールソフトを開きます。メールソフトのアカウント設定を開き、「受信サーバー」および「送信サーバー」にIPアドレスを適用します。
IPアドレスは新旧2種類ありますので、新サーバー用と旧サーバー用の2つのアカウントをメーラー内に作成する形になりますね。その際、メールアドレスやパスワードは、自分がサーバー上で設定したものになります。
アカウント設定が完了したら、ようやくDNSの切り替え設定を行うことができます。
しばらくは2つのアカウントにメールが届きますが、いずれ新サーバーのアカウントにしか届かなくなります。これがプロパゲーション期間終了の合図ですので、この時点で古いサーバーのアカウントと結合(もしくは削除)しましょう。
引越しは万全を期して
家の引越しもメールサーバーの引越しも、多くの時間と体力を消費します。トラブルを未然に防ぐためにも、入念な準備を怠らないよう気をつけましょう。