Googleが考えるAIの戦略とは
- 投稿日:2023年06月27日
- 作成者:ito.y
- カテゴリ:その他
昨今、注目を浴びている生成AIですが、Googleは遅れをとっているような印象をもたれています。そんな中、2023年5月に開催された「Google I/O」にて、GoogleがAIの重要性について語りました。
Google I/Oでは、様々な新技術の発表が行われましたが、当記事では生成AIについて語られた部分に注目してまとめていきます。
Googleは生成AIの分野で遅れをとってしまったのか?
Googleは、画像認識や翻訳などのAI技術には長年投資をしてきており、決して生成AIの分野に無関心であったわけではありません。現在、生成AIについては、マイクロソフトやOpenAIが先行していますが、GoogleもAIの技術を多様な場所で積極的に利用しています。
IT業界の関係者からは、「最初の1か月で未来が決まった」というような声もありますが、決してそのような考え方や、やり方には賛成できないと発言しています。Googleは、AIについて非常に不完全な存在であり、そのことがもたらす影響を考慮しています。
AIによる影響が大きくなれば、長年にわたって構築されてきたWeb広告のエコシステム自体を崩壊させてしまうことになります。
今回のような新しい技術について、Googleおよび、Google親会社であるAlphabet最高経営責任者であるピチャイCEOは、「重要なのはユーザーが何をしようとしているのかを理解し、それに合わせて適切なものを提供すること」に変わりはないと発言しています。
つまり、新しい技術がユーザー経験を向上させると判断された場合に限り、新たなサービスが次々と公開されますが、正確な検索に手助けにならないと判断されれば、新サービスとして公開されないということです。
このユーザーに向き合う慎重な姿勢こそが、Googleが生成AIの世界で遅れをとっているように見える理由です。
AIの透明性や信頼性のためにルールは必要
現在、規制のない生成AIの運用が著作権侵害の問題を起こしていることが社会問題となっています。例えばご自身が1ヵ月にわたって制作した制作物が、生成AIを使って数秒で模倣された別作品として公開され、利益が奪われるなどあってはなりません。
また、社会的に問題のある幼児の画像を生成し、それを写真集として販売する業者も現れており、早急な規制が求められています。つまり、将来的なAIの透明性や信頼性の向上には、ルールが必要になってくるということです。
生成AIの規制については、Google1社だけで決定するものではなく、規制議論を行っている政府を含めた全員で行わなければいけません。実際に、Googleも公式見解として規制の必要性を認めています。
以下はピチャイCEOによるGoogleの公式見解です。
- AIを使うことで大きな利益を得られる
- 一方で安全性を優先させる必要がある
- 特に規制の仕方について考えるべきである
- 地政学的な理由で安全性や責任を放棄することは許されない
- なにごともバランスである
- 国家安全保障上の問題についても考慮しながら決定を進めていくべき
Googleは、上記のような公式見解を発表していますが、政府はもちろん、私たちユーザーについても道徳心をもって正しく扱う意識をもたなければ、責任のある安全な運用というのは不可能ということです。
Googleが今後活用する生成AIを発表
ピチャイCEOは、生成AIが新しい段階となると発表しています。それは、生成AIによる画像とウォーターマーク(透かし)の関係性です。生成AIのサービスは非常に便利ですが、インターネット上に公開されている画像が本物の画像なのか、生成AIによる生成画像なのかは、簡単には判断できません。
そのため、生成AIが生成した画像については、ウォーターマークを入れることで、その所在を明確化できるとのことです。今後、Googleは、Adobeの生成AIである「Firefly」と連携したことから、次のような可能性が考えられます。
- 来歴の不明確な画像を信頼しない
- 来歴の不明確な画像の扱いに注意する
そのため、Googleは数か月以内に閲覧画像に類似する画像がネット上にいつ公開されているのかを確認する機能をGoogle画像検索に加えることがわかっています。
他にも、検索に生成AIを採用する方針が決定し、ネット上の最新情報のチェックがより簡単にできるようになってきています。
まとめ
AIの登場によってGoogleの検索の仕組みが大きく変わろうとしています。今回であれば、生成AIの登場によって画像の来歴の証明が求められつつあります。つまり、画像に公開日を記載し、ユーザーに信頼性を提供する必要があるということです。
具体的な対策の仕方については、まだ公開されていませんが、検索順位とも関係する場合は、速やかな対処が必要です。